浄土真宗東本願寺派の葬儀と法事
葬式を知りたい
浄土真宗の東本願寺派って、お西さんとどう違うんですか?どちらも浄土真宗ですよね?
お葬式専門家
良い質問ですね。どちらも浄土真宗ですが、もともとは同じ宗派でした。室町時代の末期に教義解釈や後継者争いなどが原因で東西に分かれたのです。東本願寺派は京都の東本願寺を本山としています。
葬式を知りたい
へえ、そうなんですね。でも、同じ浄土真宗なら、お葬式やお法事のやり方も同じなんですか?
お葬式専門家
細かい部分では違いがあります。例えば、お焼香の作法や読経するお経の一部、お布施の表書きなどが異なることがあります。参列する際は、周りの人に合わせて行うのが良いでしょう。
浄土真宗 東本願寺派とは。
お葬式やお法事に関する言葉で、「浄土真宗 東本願寺派」というものがあります。これは浄土真宗という仏教の宗派の一つで、「お東さん」という呼び方もあります。京都にある東と西の二つの本願寺のうち、東本願寺を本山として阿弥陀如来様を本尊としています。(西本願寺は浄土真宗本願寺派のお寺です。)この宗派は室町時代に八代目住職である本願寺蓮如さんによって大きく発展しました。また、室町時代後期には本願寺顕如さんをリーダーとして多くの信者を集め、今でも浄土真宗の主要な宗派の一つとなっています。
概要
浄土真宗東本願寺派は、親しみを込めて「お東さん」と呼ばれる、浄土真宗の一派です。本山は京都の東本願寺で、ご本尊は阿弥陀如来です。同じ浄土真宗でも、京都の西本願寺を本山とする浄土真宗本願寺派とは別の宗派です。
浄土真宗東本願寺派の歴史は古く、室町時代に大きく発展しました。その発展の中心となったのが、八代門主の蓮如上人です。蓮如上人は、熱心に教えを広める活動を行い、多くの民衆の心を掴みました。その結果、浄土真宗東本願寺派の教えは、日本全国津々浦々へと広まり、現代でも浄土真宗における主要な宗派の一つとして、多くの人々に信仰されています。特に近畿地方では、古くから篤く信仰されてきた歴史があり、今も多くの信者が暮らしています。
室町時代後期には、本願寺顕如上人を中心に、多くの門徒が集まり、大きな力を持つようになりました。現代社会においても、浄土真宗東本願寺派の教えは、迷いや不安を抱える人々の心に寄り添い、生きる指針を示し続けています。阿弥陀如来の本願力によって、すべての人々が救われるという教えは、現代社会の様々な困難に立ち向かう人々に、大きな心の支えとなっています。
浄土真宗東本願寺派は、葬儀や法事などの儀式についても、独自の作法や伝統を大切にしています。これらの儀式を通して、故人の冥福を祈り、遺族の心を慰め、共に生きる人々の絆を深める大切な機会となっています。
宗派 | 浄土真宗東本願寺派(お東さん) |
---|---|
本山 | 東本願寺(京都) |
ご本尊 | 阿弥陀如来 |
歴史 | 室町時代に蓮如上人により大きく発展、日本全国に広まる |
教え | 阿弥陀如来の本願力によってすべての人々が救われる |
現代社会における役割 | 迷いや不安を抱える人々に寄り添い、生きる指針を示す、困難に立ち向かう人々に心の支えとなる |
葬儀・法事 | 独自の作法や伝統を大切に、故人の冥福を祈り、遺族の心を慰め、共に生きる人々の絆を深める |
葬儀
浄土真宗東本願寺派の葬儀は、一般的な葬儀とは少し趣が異なり、亡くなった方を偲び、悲しみに暮れるだけでなく、故人が阿弥陀如来の慈悲によって極楽浄土へと旅立ったことをお祝いする儀式です。ですから、悲嘆にくれた中でも、感謝の念と喜びの心を持って故人の成仏を祈ります。
葬儀は、厳かな雰囲気の中、僧侶の読経から始まります。読経では、阿弥陀如来の限りない功徳を称えるお経が唱えられ、荘厳な調べが会場に響き渡ります。参列者は静かに合掌し、故人の冥福を祈ります。読経に続いて、焼香が行われます。一人ひとり、心を込めて香を焚き、故人に敬意を表します。静寂の中、香の香りが会場に広がり、厳粛な気持ちに包まれます。
僧侶による法話では、故人の歩んできた人生を振り返り、その生き方を偲びます。また、仏教の教えに基づいて、命の尊さや死の意味について分かりやすく説かれ、参列者は静かに耳を傾け、故人の人生に思いを馳せます。
故人の霊前には、色とりどりの花や新鮮な果物、故人が生前好んでいた食べ物などが供えられます。これらの供え物は、故人への感謝の気持ちと、安らかな旅立ちを願う心を形にしたものです。
浄土真宗東本願寺派の葬儀は、故人とこの世で最後のお別れをする場であると同時に、極楽浄土での新たな誕生を祝福する大切な儀式です。参列者は、故人の霊前にて最後の別れを告げ、安らかな眠りを祈りつつ、新たな人生の門出を祝福します。
浄土真宗東本願寺派の葬儀 |
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故人の死を悲しむだけでなく、極楽浄土への旅立ちを祝う儀式 |
僧侶の読経:阿弥陀如来の功徳を称える |
焼香:故人に敬意を表す |
法話:故人の人生を振り返り、命の尊さや死の意味を説く |
供物:花、果物、故人の好物など |
この世での別れと、極楽浄土での新たな誕生を祝福する |
法事
仏教では、人が亡くなってから極楽浄土へ旅立つまでの間、遺された家族や親族が故人の冥福を祈るために法要を行います。浄土真宗東本願寺派でも同様に、葬儀の後、さまざまな時期に法要を営みます。
故人がこの世を去って七日目に行う初七日から始まり、四十九日、百か日、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十七回忌、三十三回忌、五十回忌と続きます。
中でも四十九日は特に重要な法要とされています。人は亡くなってから四十九日目に、あの世での行き先が決まると考えられており、この日に故人の魂が成仏すると言われています。そのため、四十九日法要には多くの親族が集まり、盛大に営まれることが多いです。
一周忌もまた大切な法要です。故人が亡くなってから一年目の命日にあたり、一年間の追善供養の締めくくりとして営まれます。親族だけでなく、故人と親しかった友人や知人なども招き、故人を偲び、冥福を祈ります。
これらの法要では、僧侶にお経を読んでもらい、焼香を行い、故人の功績を称える法話を聞きます。また、法要の後には、参列者で食事を共にすることもあります。精進落としとも呼ばれるこの食事会は、故人を偲び、共に過ごした時間を振り返る大切な機会となります。
法要は、故人の霊を慰めるだけでなく、遺された家族が故人の死を受け入れ、前向きに生きていくためにも重要な儀式です。悲しみを乗り越え、新たな一歩を踏み出すための支えとなるのです。
法要 | 時期 | 備考 |
---|---|---|
初七日 | 故人が亡くなってから7日目 | |
四十九日 | 故人が亡くなってから49日目 | 特に重要な法要。あの世での行き先が決まる日。 |
百か日 | 故人が亡くなってから100日目 | |
一周忌 | 故人が亡くなってから1年目の命日 | 大切な法要。一年間の追善供養の締めくくり。 |
三回忌 | 故人が亡くなってから2年目の命日 | |
七回忌 | 故人が亡くなってから6年目の命日 | |
十三回忌 | 故人が亡くなってから12年目の命日 | |
十七回忌 | 故人が亡くなってから16年目の命日 | |
二十三回忌 | 故人が亡くなってから22年目の命日 | |
二十七回忌 | 故人が亡くなってから26年目の命日 | |
三十三回忌 | 故人が亡くなってから32年目の命日 | |
五十回忌 | 故人が亡くなってから49年目の命日 |
お布施
葬儀や法要といった仏事では、僧侶の方々にお世話になるため、お布施をお渡しするのが慣例です。これは、読経や戒名授与など、儀式を執り行っていただいたことへの感謝の気持ちを表すものです。お布施の金額は、地域や寺院の慣習、また葬儀の規模や法要の種類によって大きく異なります。一般的には、葬儀の場合は数万円から数十万円、四十九日法要などの法要の場合は数千円から数万円が相場とされています。
お布施は、金額で僧侶への感謝の気持ちの軽重を測るものではありません。大切なのは、故人を偲び、儀式に真摯に向き合う心です。しかしながら、あまりにも高額なお布施は、かえって相手に気を遣わせてしまう可能性がありますので、相場を踏まえることが大切です。お布施の金額については、葬儀社や寺院に相談すれば、適切な金額の目安を教えていただけます。迷った場合は、遠慮なく相談してみましょう。
お布施以外にも、僧侶へのお礼として、お車代や御膳料を用意する場合があります。お車代は、僧侶が遠方から来られる場合の交通費としてお渡しするものです。御膳料は、葬儀や法要後の会食に僧侶が参加されない場合に、食事代としてお渡しします。これらの費用についても、必要かどうか、また金額の相場は、事前に寺院に確認しておくと安心です。
お布施を渡す際は、白い封筒に包みます。封筒の表には「御布施」と書き、その下に自分の名前を記します。お布施を渡すタイミングは、葬儀や法要が終了した後、僧侶に直接手渡しするのが一般的です。その際、軽い会釈とともに感謝の言葉を添えると良いでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
お布施 |
|
お車代 | 遠方から来られる僧侶の交通費 |
御膳料 | 僧侶が会食不参加の場合の食事代 |
封筒 |
|
渡し方 | 葬儀/法要後に僧侶へ直接手渡し、感謝の言葉と共に |
服装
葬儀への参列にふさわしい服装は、一般的に黒の喪服です。男性の場合は、黒のスーツに白いワイシャツ、そして黒のネクタイを着用します。光沢のない素材を選び、落ち着いた印象を与えることが大切です。女性の場合は、黒のワンピースやスーツ、黒のストッキングを着用します。肌の露出を控え、丈の短いスカートや袖のない服装は避けましょう。
アクセサリーは、結婚指輪以外は控えめにするのがマナーです。真珠のネックレスやイヤリングは、上品さと控えめさを兼ね備えているため、広く受けられています。光る宝石や華やかな装飾品は避け、故人を偲ぶ場にふさわしい装いを心がけましょう。
法事の服装は、四十九日までは葬儀と同じく喪服を着用するのが一般的です。故人の霊魂が安らかなるよう、弔いの気持ちを表す喪服で参列しましょう。四十九日を過ぎた後は、黒や紺、灰色といった落ち着いた色合いの服装で参列するのが一般的です。派手な色や柄は避け、故人や遺族に配慮した服装を選びましょう。スーツやワンピースなど、きちんとした印象の服装が適しています。
子供の服装も、黒、紺、灰色などの落ち着いた色合いのものを選びましょう。キャラクターが描かれた服や派手な色の服は避け、落ち着いた雰囲気の服装で参列することが大切です。
葬儀や法事の服装は、故人への敬意を表す大切な部分です。遺族や他の参列者への配慮も忘れずに、失礼のない服装で参列しましょう。服装に関する疑問があれば、葬儀社や詳しい人に相談することをお勧めします。
場面 | 服装 | アクセサリー |
---|---|---|
葬儀(男女共通) | 黒の喪服 男性:黒のスーツ、白いワイシャツ、黒のネクタイ(光沢のない素材) 女性:黒のワンピースやスーツ、黒のストッキング(肌の露出は控えめに) |
結婚指輪以外は控えめに。真珠のネックレスやイヤリング可。光る宝石や華やかな装飾品は不可。 |
法事(四十九日まで) | 葬儀と同じく喪服 | 葬儀に準ずる |
法事(四十九日以降) | 黒、紺、灰色など落ち着いた色合いの服装。スーツやワンピースなどきちんとした印象の服装。 | 派手なものは避け、控えめにする。 |
子供 | 黒、紺、灰色など落ち着いた色合いの服装。キャラクターや派手な色の服は不可。 | 年齢に合わせた控えめなものが望ましい。 |
焼香
焼香は、亡くなった方への弔いの気持ちを表し、あの世での幸せを祈る大切な儀式です。故人の霊前で、香の煙によって心を清め、祈りを届けるという意味が込められています。焼香の作法は仏教の宗派によって少しずつ異なり、浄土真宗東本願寺派では、特に独特な作法が定められています。
一般的な焼香では、額に押しいただき、数回香をくべる作法が広く行われていますが、東本願寺派では、抹香を額に押しいただくことはしません。また、焼香の回数も一度きりです。これは、一度の焼香で十分に祈りが届くと考えられているからです。
焼香の具体的な手順としては、まず、両手を合わせて静かに一礼します。次に、右手の親指、人差し指、中指の三本で抹香を少量つまみ、香炉の上で少しの間、静止させます。これは、香の香りを十分に感じ、心を落ち着けるためです。その後、静かに抹香を香炉に落とします。この一連の動作を一度だけ行います。焼香が終わったら、再び両手を合わせて一礼し、席に戻ります。
焼香の作法は、地域や寺院によって若干の違いがある場合もあります。もし作法が分からず不安な場合は、周りの方の作法に合わせるのが良いでしょう。また、葬儀に参列する前に、事前に寺院に問い合わせて作法を確認しておくこともおすすめです。焼香は、故人を偲び、冥福を祈る大切な儀式です。心を込めて行いましょう。
手順 | 動作 | 備考 |
---|---|---|
1 | 両手を合わせて静かに一礼 | |
2 | 右手の親指、人差し指、中指の三本で抹香を少量つまみ、香炉の上で少しの間、静止 | 香の香りを十分に感じ、心を落ち着ける |
3 | 静かに抹香を香炉に落とす | |
4 | 再び両手を合わせて一礼 | |
5 | 席に戻る |
注意点
- 抹香を額に押しいただかない
- 焼香は一度きり
- 地域や寺院によって若干の違いがある場合も
- 作法が分からず不安な場合は、周りの方の作法に合わせる
- 事前に寺院に問い合わせて作法を確認