自宅飾りの意味と作法
葬式を知りたい
自宅飾りって、仏式と神式とキリスト教式でそれぞれ違いがあるんですか?
お葬式専門家
そうだよ。仏式では白木の位牌や遺影を飾り、神式では仮霊舎に洗米などを供え、キリスト教式では祭壇に十字架などを置くことが多いね。
葬式を知りたい
それぞれ違うんですね。じゃあ、自宅飾りってどのくらいの期間飾っておくものなんですか?
お葬式専門家
仏式と神式では、それぞれ四十九日と五十日祭までだね。キリスト教式の場合は納骨までが多いよ。いずれも、故人を偲び、冥福を祈るための大切なものなんだ。
自宅飾りとは。
お葬式と法事に関する言葉で「自宅飾り」というものがあります。自宅飾りは、後飾り、中陰壇、後壇、後祭り壇などとも呼ばれます。これは、火葬が終わってから四十九日の法要が終わり、納骨するまでの間、お骨を置いておく棚のことです。仏式の場合、この棚は二段か三段の雛壇のような形にして、白い布をかけ、お骨を安置します。その周りに、仮の位牌である白木の位牌と遺影を並べ、香炉、花瓶、燭台なども置きます。自宅飾りは、仏壇がある場合は仏壇の前に、ない場合は部屋の北側か西側に置きます。神式では、白木の八足の壇や仮霊舎と呼ばれる壇を使い、お米を洗ったものや水、塩、灯明などをお供えします。神式では四十九日ではなく、五十日目の五十日祭までお骨を安置します。キリスト教では本来火葬という考え方がないので、自宅飾りという習慣はありません。しかし、日本では火葬が一般的なので、納骨まで祭壇を作り、そこに遺骨、遺影、十字架、花、燭台、お供え物を飾り、供養することが多いようです。自宅飾りは、忌明けまでの四十九日間、遺族が毎日灯明を灯し、焼香し、故人の冥福を祈ります。これは、亡くなった人があの世で少しでも幸せになるようにという遺族の願いを表す行為です。また、お葬式の日に弔問に来られなかった人が後日来た時には、この自宅飾りで礼拝してもらうことができます。
自宅飾りの概要
人が亡くなり、火葬を終えた後、四十九日の法要が終わるまでの間、遺骨を自宅に安置するための棚を設けます。この棚は地域によって後飾り、中陰壇、後壇、後祭り壇など、様々な呼び名で呼ばれています。この期間は、故人の魂が現世とあの世を行き来すると考えられており、自宅に設けたこの棚は、故人が安心してあの世へ旅立てるようにするための大切な場所となります。
この棚には、故人の遺影を中心に、香炉、燭台、供物台、花瓶、鈴などを配置します。毎日、朝晩欠かさずお線香をあげ、故人の好物や季節の果物、故人が好きだったものなどを供え、冥福を祈ります。水やお茶も供え、故人の喉の渇きを癒す配慮も欠かしません。また、故人の霊が迷わず帰って来られるように、白提灯を飾り、玄関先には案内の提灯を下げる風習もよく見られます。
この自宅飾りは、仏教だけでなく神道など他の宗教でも行われることがあります。宗教や地域によって飾り方や供えるもの、期間などに多少の違いはありますが、故人を弔う気持ちは共通しています。自宅に遺骨を安置し、毎日手を合わせることで、遺族は故人を偲び、生前の思い出を語り合い、心の整理をつけていくのです。自宅飾りは、大切な人を亡くした遺族にとって、悲しみを乗り越え、故人の霊を慰めるための大切な儀式と言えるでしょう。
項目 | 詳細 |
---|---|
名称 | 後飾り、中陰壇、後壇、後祭り壇など(地域によって異なる) |
目的 | 故人の魂が現世とあの世を行き来する期間、故人が安心してあの世へ旅立てるようにするための場所、遺族が悲しみを乗り越え、故人の霊を慰めるための儀式 |
設置期間 | 火葬後から四十九日の法要まで |
設置場所 | 自宅 |
棚の構成 | 遺影、香炉、燭台、供物台、花瓶、鈴など |
供物 | 線香、故人の好物、季節の果物、故人が好きだったもの、水、お茶など |
その他の風習 | 白提灯を飾る、玄関先に案内の提灯を下げる |
宗教 | 仏教、神道など |
バリエーション | 宗教や地域によって飾り方や供えるもの、期間などに多少の違いあり |
仏式の自宅飾り
仏式の自宅飾りは、故人があの世へ旅立つまでの間、安らかに過ごせるようにするための大切な準備です。 まず、二段もしくは三段の棚を用意し、雛壇のように組み立てます。この棚は、故人の魂を高く上げて、より良い世界へ導くという意味が込められています。棚全体を清浄な白い布で覆い、神聖な空間を作り出します。
白い布で覆った棚の上に、故人の遺骨を安置します。遺骨は故人そのものを表すため、丁寧に扱い、周囲を清浄に保つことが重要です。 遺骨の隣には、白木の位牌と遺影を並べます。白木の位牌は、故人の魂の依り代となるものであり、遺影は故人の生前の姿を偲ぶためのものです。これらの品々は、故人の存在を身近に感じさせ、遺族の心を慰める役割を果たします。
さらに、香炉、花瓶、燭台なども飾り付けます。香炉は、良い香りを焚き染めて、故人の魂を清めるという意味があります。 花瓶には、故人が好きだった花や、季節の花を生けます。花は、故人の霊前に彩りを添え、安らぎを与えます。燭台には灯明を灯し、故人の行く末を照らします。これらの品々は、故人の霊前を荘厳なものとし、追悼の意を表す上で欠かせないものです。
自宅に仏壇がある場合は、その前に自宅飾りを設置します。仏壇がない場合は、北側か西側に設置するのが一般的です。これは、北側や西側が、あの世に通じる方角と考えられているからです。毎日、遺族は灯明を灯し、焼香を行い、故人の冥福を祈ります。この行為は、故人があの世で少しでも良い場所に行けるようにとの願いが込められています。 故人の霊前を清浄に保ち、心を込めて祈りを捧げることで、故人の魂は安らかにあの世へと旅立つことができると信じられています。
アイテム | 意味 | 補足 |
---|---|---|
二段/三段の棚 | 故人の魂を高く上げ、より良い世界へ導く | 白い布で覆う |
遺骨 | 故人そのものを表す | 丁寧に扱い、周囲を清浄に保つ |
白木の位牌 | 故人の魂の依り代 | |
遺影 | 故人の生前の姿を偲ぶ | |
香炉 | 良い香りを焚き染め、故人の魂を清める | |
花瓶、花 | 故人の霊前に彩りを添え、安らぎを与える | 故人が好きだった花や季節の花 |
燭台、灯明 | 故人の行く末を照らす | 毎日灯し、焼香を行う |
設置場所 | 仏壇の前、または北側か西側 | 北側/西側はあの世に通じる方角と考えられている |
日々の祈り | 故人の冥福を祈る | 故人があの世で少しでも良い場所に行けるようにとの願い |
神式の自宅飾り
神道では、亡くなった方を神様としてお祀りするまでの間、自宅に仮の祭壇を設けます。この祭壇は、白木の八脚の台を用いることが多く、これを『八足台(やつあしだい)』または『仮霊舎(かりれいしゃ)』と呼びます。
この八足台の上に、故人の霊をお招きし、慰めるための様々な供え物を置きます。お米を研いだときに最初に流れ出る水である洗米(せんまい)や、清めの塩、故人の霊を導く灯明、そして故人が好んでいた食べ物や飲み物などを供えます。これらの供え物は、毎日欠かさず新しいものに取り替えることが大切です。
故人のご遺骨は、この仮霊舎に安置し、五十日祭が終わるまでの間、自宅で大切に守ります。この五十日間は、故人の霊が迷わずあの世へ旅立てるように、家族や親族が心を込めてお祈りをする期間です。仏式の四十九日とほぼ同じ意味を持ちますが、神道では五十日という日数に特別な意味があると考えられています。
仏式と神式では、祭壇の形式や供え物、 mourning 期間など、様々な違いがあります。しかし、故人を偲び、冥福を祈る気持ちは、どの宗教でも同じです。それぞれの宗教の教えや作法を大切に守りながら、故人の霊を慰め、安らかな旅立ちを祈ることが大切です。五十日祭が終わると、故人の霊は祖霊となり、氏神様としてお祀りされるようになります。
項目 | 内容 |
---|---|
祭壇 | 白木の八脚の台(八足台、仮霊舎) |
供え物 | 洗米、清めの塩、灯明、故人の好物など(毎日交換) |
ご遺骨 | 仮霊舎に安置(五十日祭まで) |
五十日祭 | 仏式の四十九日と同様の意味。五十日という日数に特別な意味を持つ。 |
祖霊 | 五十日祭後、故人の霊は祖霊となり、氏神様として祀られる。 |
キリスト教式の自宅飾り
キリスト教では、土葬が本来の埋葬方法であり、故人を自宅に安置して弔う習慣はありません。しかし、日本では火葬が一般的で、火葬後の遺骨を自宅に持ち帰り、納骨までの間、故人を偲ぶことが多く行われています。そのため、キリスト教の葬儀でも日本の習慣を取り入れ、自宅に祭壇を設けて故人を弔うことが一般的になっています。
自宅に祭壇を設ける際には、白い布で覆われたテーブルの上に、故人の遺影を中心に配置します。遺影の両脇には、白い菊やカーネーション、ユリなどの白を基調とした花を飾ります。これらの花は、故人の霊の清らかさを表すとされています。また、十字架はキリスト教の象徴であり、祭壇の中央や遺影の近くに置かれることが多いです。十字架は故人が信仰していた証であり、永遠の命への希望を象徴しています。
ろうそくはキリストの光を象徴し、故人の霊を照らし、安らかな眠りを祈る意味で灯されます。ろうそくの炎は、故人の魂が天に昇っていく様子を表しているとも言われています。また、故人が生前好んでいた聖書や讃美歌集などを祭壇に置くこともあります。
供物としては、故人が好んでいたお菓子や果物、飲み物などを供えます。ただし、肉や魚などの生ものは避け、個包装されたものが望ましいとされています。故人が好きだったものをお供えすることで、故人を偲び、共に過ごした時間を思い起こすことができます。
このように、日本の文化とキリスト教の教えが融合した形で、自宅に祭壇を設けて故人を弔うことが一般的になっています。それぞれの宗教の考え方を尊重し、故人の霊を慰め、安らかな眠りを祈ることが大切です。自宅での弔いは、故人と最後の時間を共有し、冥福を祈る大切な機会となります。
アイテム | 説明 | 意味 |
---|---|---|
遺影 | 白い布で覆われたテーブルの上に配置 | 故人を偲ぶ |
花 | 白を基調とした花(菊、カーネーション、ユリなど) | 故人の霊の清らかさを表す |
十字架 | 祭壇の中央や遺影の近くに配置 | キリスト教の象徴、故人の信仰の証、永遠の命への希望 |
ろうそく | 灯りをともす | キリストの光を象徴、故人の霊を照らし安らかな眠りを祈る、故人の魂が天に昇る様子 |
聖書、讃美歌集 | 祭壇に置く | 故人が生前好んでいたもの |
供物 | お菓子、果物、飲み物など(肉や魚などの生ものは避け、個包装のものが望ましい) | 故人が好んでいたものをお供えし、故人を偲び共に過ごした時間を思い起こす |
自宅飾りの役割と意味
自宅飾りは、故人のご遺骨を一時的に安置する場所ですが、その役割は単なる安置場所にとどまりません。自宅飾りは、この世を去られた方の魂が静かに安らげる場所であり、残された家族が故人と最後の時間を心ゆくまで共有できる大切な場所なのです。
毎日、自宅飾りの前で灯明を灯し、静かに焼香を捧げ、故人に語りかけることで、故人の冥福を祈るとともに、生きている私たちが深い悲しみを乗り越える助けとなるのです。まるで故人がそこにいるかのように語りかけることで、生前の思い出が蘇り、温かい気持ちに包まれるでしょう。この静かな時間を持つことで、悲しみに暮れる心を少しずつ落ち着かせ、前を向いて生きていく力をもらえるはずです。
また、葬儀に参列できなかった方が弔問に訪れた際にも、自宅飾りで故人に礼拝してもらうことができます。自宅飾りは、故人と遺族だけでなく、弔問に訪れる方々とも心をつなぎ、故人を偲ぶ大切な場となるのです。葬儀ではゆっくりとお別れを言えなかった方々も、自宅飾りで改めて故人に感謝の気持ちや別れを告げることができ、心の整理をつけることができるでしょう。
このように、自宅飾りは故人の霊魂の拠り所となるだけでなく、遺族や弔問客にとっても、故人と心を通わせる大切な役割を果たしています。自宅飾りは、故人を偲び、その存在を身近に感じられる特別な場所と言えるでしょう。故人の好きだったものや写真を飾ることで、より一層、故人の存在を近くに感じ、温かい気持ちで過ごせるはずです。
項目 | 説明 |
---|---|
自宅飾りの役割 | 故人のご遺骨を一時的に安置する場所。故人の魂が静かに安らげる場所。残された家族が故人と最後の時間を共有できる大切な場所。弔問に訪れた方が故人に礼拝できる場所。 |
自宅飾りでの行為 | 毎日、灯明を灯し、静かに焼香を捧げ、故人に語りかける。故人の好きだったものや写真を飾る。 |
自宅飾りの効果 | 故人の冥福を祈る。生きている人が深い悲しみを乗り越える助けとなる。生前の思い出が蘇り、温かい気持ちに包まれる。悲しみに暮れる心を少しずつ落ち着かせ、前を向いて生きていく力をもらえる。葬儀に参列できなかった方が弔問に訪れた際に、故人に礼拝してもらうことができる。故人と遺族だけでなく、弔問に訪れる方々とも心をつなぎ、故人を偲ぶ場となる。葬儀ではゆっくりとお別れを言えなかった方々も、改めて故人に感謝の気持ちや別れを告げることができ、心の整理をつけることができる。故人を偲び、その存在を身近に感じられる。 |
自宅飾りと弔問客
葬儀に参列できなかった方々にとって、自宅飾りは故人に最後のお別れをする大切な機会となります。葬儀当日は仕事や遠方などの都合で参列が叶わなかった方も、自宅飾りであれば後日改めて弔問に訪れることができます。
自宅飾りでは、葬儀場と同じように焼香台が設けられます。弔問客は、焼香を行い、故人の霊前にて深く頭を下げ、祈りを捧げます。また、宗派によっては礼拝の作法が異なる場合もありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。
遺族は、訪れた弔問客一人ひとりに感謝の気持ちを伝えながら、故人の思い出話に花を咲かせます。生前の故人の人となりや、楽しかった出来事、苦労を共にした時のことなどを語り合うことで、故人の温かい記憶を共有し、共に悲しみを分かち合うことができます。また、弔問客からの温かい言葉や励ましは、深い悲しみの中にある遺族にとって大きな心の支えとなるでしょう。
自宅飾りは、故人を偲び、その存在を改めて感じる場であると同時に、遺族と弔問客が繋がりを深める場でもあります。共に故人を想い、語り合うことで、お互いを支え合い、悲しみを乗り越えていく力となるのです。
自宅飾りで過ごす時間は、故人の冥福を祈るだけでなく、周りの人々の温かさや支えを感じることができる、かけがえのない大切な時間となるでしょう。
自宅飾りの目的・意義 | 具体的な行動・様子 | 結果・効果 |
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葬儀に参列できなかった方の最後のお別れの機会 | 後日改めて弔問に訪れ、焼香を行い、祈りを捧げる | 故人に最後のお別れをすることができる |
故人を偲び、存在を改めて感じる場 | 故人の霊前にて深く頭を下げ、祈りを捧げる | 故人の温かい記憶を共有し、共に悲しみを分かち合う |
遺族と弔問客が繋がりを深める場 | 遺族は弔問客に感謝を伝え、故人の思い出話をする | お互いを支え合い、悲しみを乗り越えていく力となる |
かけがえのない大切な時間 | 弔問客からの温かい言葉や励まし | 深い悲しみの中にある遺族にとって大きな心の支えとなる |