くし型香炉

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墓石

くし型香炉:お墓の大切な装飾品

お墓参りに欠かせない道具の一つ、香炉。故人の霊前で焚く線香を立てるための器です。その役割は、単に線香を支えるだけでなく、もっと深い意味を持っています。私たちは香炉に線香を供え、煙に乗せて故人への想いを届けます。線香の煙は天へと昇り、私たちの祈りを故人に伝えてくれると、古くから信じられてきました。また、線香の香りには、私たちの心を落ち着かせ、静かに故人を偲ぶ助けとなる力もあります。香炉は、こうした祈りと追慕の行為を支える、神聖な器と言えるでしょう。香炉には様々な種類があります。材質も金属、陶磁器、石など様々で、形も用途に合わせて異なってきます。家庭で使われる小型のものから、寺院で用いられる大きなものまで、実に多種多様です。中でも、お墓でよく見かけるのが「くし型香炉」です。これは、名前の通り櫛のような形をした複数の突起が特徴で、多くの線香を一度に焚くことができます。お墓参りに多くの人が訪れる時期には、たくさんの線香が供えられるため、くし型香炉は大変重宝されています。また、線香の灰が飛び散るのを防ぎ、お墓を清潔に保つ効果もあります。くし型香炉以外にも、「寝香炉」と呼ばれるものもあります。これは、横になった筒状の形をしており、線香を寝かせて焚くことができます。風が強い日や、雨の日でも線香が倒れる心配がなく、安定して焚くことができます。このように、香炉は故人を偲び、祈りを捧げる大切な場において、様々な形で私たちの想いを支えてくれるのです。