黄檗宗の葬儀と法事
黄檗宗は、日本の仏教の中で比較的新しい宗派です。江戸時代の初期、承応三年(一六五四)に、中国から渡来した隠元隆琦禅師によって開かれました。明朝時代の中国禅の教えを伝える宗派として、今日まで大切に受け継がれています。黄檗宗の本山は、京都府宇治市にある万福寺です。中国風の鮮やかな色彩と壮大な建築様式を持つ万福寺は、隠元禅師が自ら設計したと伝えられています。伽藍全体が中国の明朝様式で統一されており、わが国では珍しい伽藍配置となっています。境内は広く、一般の人々も拝観することができます。また、坐禅や写経などの禅の修行体験も随時行われていますので、静かで落ち着いた雰囲気の中で、心身を清めることができます。黄檗宗は、禅宗の一派である臨済宗の流れを汲んでいますが、中国の明朝時代の禅の影響を強く受けている点が大きな特徴です。日常の修行においても中国文化の影響が色濃く現れています。例えば、お経は中国の明朝時代の発音で唱えます。「摩訶般若波羅蜜多心経」は、「まかはんにゃはらみたしんぎょう」ではなく「ポゼポロミトシンキン」と唱えます。また、読経の際にも独特の節回しを用います。木魚などの打楽器に合わせて、抑揚をつけながら唱えるのが特徴です。精進料理にも中国の影響が見られます。中国風の味付けや調理法を取り入れた精進料理は、隠元禅師が伝えた普茶料理として知られています。普茶料理は、大勢の人々が円卓を囲んで共に食事をする形式で、現在も万福寺などで体験することができます。独特の建築様式、読経、そして精進料理。中国文化の影響を色濃く残す黄檗宗は、日本の仏教の中でも独特の魅力を放っています。その教えや文化に触れることで、いにしえの中国文化と禅の精神に触れ、新たな発見があることでしょう。