枕団子:故人への想い
枕団子とは、亡くなった方の枕元にそっと供えるお団子のことです。 古くから日本で大切にされてきた風習の一つで、故人の霊を優しく慰め、あの世での幸せを心から祈る深い意味が込められています。この風習の始まりは、仏教の開祖であるお釈迦様がお亡くなりになった時まで遡ると言われています。仏教の教えが書かれた経典によると、お釈迦様がお亡くなりになる間際、弟子の一人である無辺菩薩がお香の炊き込まれたご飯を献上しましたが、お釈迦様はそれを召し上がることがありませんでした。そこで、亡くなった後に団子を供えるようになったというお話が、枕団子の始まりだと伝えられています。日本では、このお話に基づいて、故人の枕元にそっと団子を供えることで、故人の霊を慰め、まるで眠るように穏やかにあの世へ旅立てるようにと祈りを捧げる風習が根付きました。また、故人がこの世に生きていた時に好んで食べていたものを供えることで、故人の懐かしい思い出を偲び、生前お世話になったことへの感謝の気持ちを伝える意味合いも含まれています。枕団子は、地域によって様々な形や材料で作られます。米粉や小麦粉を練って丸めたもの、餡を包んだもの、串に刺したものなど、地方によって違いが見られます。また、お団子の数にも地域によって違いがあり、三つ、五つ、七つなど、奇数で供えることが多いようです。これは、日本では古来より奇数を縁起の良い数字と捉える風習があるためです。このように、枕団子は故人を偲び、冥福を祈る大切な日本の伝統文化の一つです。形や材料は地域によって様々ですが、故人を大切に思う気持ちは、どの地域でも共通しています。時代が変わっても、この美しい風習は、日本の心として大切に受け継がれていくことでしょう。