お墓の向きと方角の選び方
お墓の向きや方角で吉凶が左右されるという考えは、昔から根強く存在します。よく「吉相墓」といった言葉も耳にするでしょう。しかし、実際にはこれといった決まった向きや方角はありません。吉相に関する書物や、吉相を専門に研究している人によっても、様々な見解があり、どれが正しいと断言できるものではありません。よく知られているのは、東向きが良いとする考え方です。東向きのお墓が好まれる理由の一つとして、お参りする人が西の方角にあるとされる極楽浄土を向いて故人を弔うことができる、というものがあります。また、日の出の方角である東は縁起が良い、という単純な理由づけも広く知られています。もちろん、東向き以外にも様々な解釈があり、南向きが良いとする説や、西向きが良いとする説など、地域や宗旨宗派によって様々です。結局のところ、お墓の向きや方角に吉凶の根拠はなく、迷信の域を出ないと言えるでしょう。お墓選びにおいて、向きや方角を重視するかどうかは、個人の考え方に委ねられています。本当に大切なのは、故人の霊を心から祈り、遺族が安心して墓参できる場所を選ぶことです。向きや方角にとらわれ過ぎて、他の重要な要素、例えば、お墓の環境や交通の便、管理体制などを見落としてしまうことのないよう、注意が必要です。お墓は、故人の冥福を祈るとともに、遺族が故人を偲び、心の安らぎを得るための大切な場所です。向きや方角よりも、静かで落ち着いた雰囲気があり、自分たちが心穏やかに過ごせる場所を選ぶことが大切です。周りの景色や空気感なども含めて、総合的に判断し、納得のいくお墓を選びましょう。故人の好きだった場所に近い、景色の良い場所など、故人の思い出と結びつけて選ぶのも良いでしょう。