
六文銭:三途の川の渡し賃
六文銭とは、六枚の銭貨を模した紋のことで、葬式や仏教と深い関わりがあります。古くから、この世とあの世を隔てる三途の川を渡るための渡し賃として、故人に持たせる風習がありました。この渡し賃は、副葬品として棺に納められました。三途の川は、生者と死者を分ける境界であり、死者はこの川を渡ってあの世へと旅立つと信じられています。六文銭は、まさにこの川を渡るための船賃として、故人の冥福を祈る大切な役割を担っていました。六という数字は、仏教では六道輪廻を表す特別な数字です。六道とは、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天という六つの世界のことで、生きとし生けるものは、死後これらの世界を生まれ変わり死に変わりすると考えられています。六文銭には、この六道から解脱して、安らかにあの世へ旅立てるようにという願いが込められています。あの世での幸せを願う気持ちは、今も昔も変わりません。六文銭は、家紋としても用いられています。中でも、真田家は六文銭の家紋で広く知られています。戦国時代、真田家は武具や旗印に六文銭を掲げ、戦に臨みました。これは、戦場で命を落とす覚悟を示すだけでなく、敵を威嚇する意味もあったとされています。戦の場で、自らの死をも覚悟した武士たちの強い意志が伝わってきます。このように、六文銭は死やあの世といった考えと結びつき、時代を超えて様々な意味を持つ象徴となっています。現代においても、葬儀や法事などで目にする機会が多く、私たちの先祖の死生観を理解する上で重要な手がかりと言えるでしょう。