
神式の葬儀における神衣
神衣とは、神道の葬儀で故人に着せる白い衣装のことを指します。神道では、死は穢れ(けがれ)と捉えられており、白い衣には、故人を清める意味合いが込められています。同時に、神様の世界へ旅立つ故人のための晴れ着としての意味も持ちます。神衣は、神職の衣装と似た形式で、男女で異なった形をしています。男性の場合は、平安時代の貴族の普段着であった狩衣(かりぎぬ)を模した装束を着用します。狩衣は、襟が大きく開いた上着で、動きやすいように袖が広く作られています。色は白が基本ですが、薄い水色や浅葱色(あさぎいろ)などの場合もあります。故人はこの狩衣に烏帽子(えぼし)を被り、笏(しゃく)を持ちます。烏帽子は、かつて位の高い男性が着用した、高く角張った黒い帽子です。笏は、細長い板で、神聖な儀式などで用いられました。これらの装束を身につけ、故人は神様の世界へと旅立ちます。一方、女性の場合は、高貴な女性が着用していた小袿(こうちぎ)を模した白い衣装を着用します。小袿とは、平安時代の貴族の女性が着ていた袿の一種で、幾重にも重ねて優雅さを演出しました。神衣として用いる小袿は、白一色で仕立てられ、故人の清らかさを表します。女性は小袿に、扇を持ちます。扇は、古くから魔除けの意味を持つとされ、故人の霊魂を守護する意味が込められています。このように、男性には狩衣と烏帽子、笏、女性には小袿と扇というように、それぞれ異なった装束が用意されています。これらの装束は、故人の霊魂を神聖なものへと変容させ、神様の世界へ送り出すという大切な役割を担っているのです。現代では、これらの神衣一式は、葬儀社が用意するのが一般的となっています。