御霊舎

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墓地

墓地に宿る御霊:その意味と役割

「御霊(みたま)」とは、亡くなった人の魂のことで、特にご先祖様の霊魂を指すことが多い言葉です。この世に生きていた時には、肉体という器に宿っていましたが、亡くなることでその器を離れ、霊魂としての存在になったものと考えられています。目には見えませんが、いつも子孫を見守り、導いてくれていると信じられています。お墓は、この御霊を祀る場所であり、御霊への感謝と敬いの気持ちを表す大切な場です。お墓参りでは、手を合わせ、祈りを捧げることで、目には見えない御霊と心を通わせ、繋がりを保つことができます。静かにお墓の前に立ち、語りかけることで、日々の暮らしの中で感じる感謝の思いや、これからの決意などを伝えることができます。また、お墓を掃除することは、御霊を敬う気持ちを表す大切な行いです。草を取り、墓石を丁寧に拭き清めることで、御霊をより身近に感じ、心穏やかに過ごすことができます。御霊は、私たちを生み育ててくれたご先祖様の象徴でもあります。御霊の存在を認識し、敬うことは、私たち自身の存在意義を考える大切な機会となります。私たちは、ご先祖様から受け継いだ命のバトンを繋いでいる存在です。そのバトンは、数えきれないほどの世代を超えて受け継がれてきた尊いものです。お墓参りを通して御霊と向き合うことで、この命の尊さを改めて感じ、自分たちが大きな生命の流れの中に存在しているという事実を深く心に刻むことができるのです。そして、未来へと繋がる命のバトンを、責任と誇りを持って次の世代へと受け渡していく決意を新たにすることができるでしょう。
墓地

霊廟:祖先を敬う大切な場所

霊廟とは、先祖の魂を祀り、敬いを表すための場所です。漢字で「霊廟」と書き、「れいびょう」もしくは「みたまや」と読みます。神道では、仏教の仏壇と同じような役割を持つ「御霊屋(みたまや)」や「御霊舎(みたましゃ)」を家に設けます。毎日、祖先に感謝の祈りを捧げる大切な場所です。御霊屋は、家の床の間などに設置されることが多く、神棚とは別に設けられることが多いようです。御霊舎は、御霊屋よりも小型で、持ち運びできるものもあります。仏教でも、仏壇や先祖を祀る部屋を、広い意味で霊廟と考えることができます。仏壇は、ご本尊や故人の位牌を安置し、日々のお祈りを捧げる場所です。また、一族の墓を建てる際に、その敷地内に設けられる礼拝堂のような建物も霊廟と呼ぶことがあります。近年では、屋内に設置されるお墓や、屋内にある礼拝堂のような場所も霊廟と呼ばれるようになってきました。納骨堂の中の個室のような区画に、遺骨を安置し、個別に祭壇を設ける形式も増えています。これらの場所は、天候に左右されず、快適な環境で先祖を偲ぶことができます。このように、霊廟は宗教や形式にこだわらず、先祖の魂を祀るための場所全般を指すと言えるでしょう。時代の変化と共に、その形も多様化しています。
葬式後

霊璽:故人の魂を祀る場所

霊璽(れいじ)とは、故人の魂が宿ると信じられている大切な品です。ちょうど仏教のお位牌のような役割を担っています。霊璽の中には、故人の諡名(おくりな)が記されたものが納められています。諡名とは、故人の生前の行いや人柄をたたえて、死後に贈られる名前のことです。仏教の戒名とよく似たものと考えて良いでしょう。霊璽は、御霊代(みたましろ)とも呼ばれ、故人の霊魂そのものを表すものとして大切に扱われます。神道では、五十日祭をもって喪明けとなりますが、この五十日祭を終えると、霊璽を御霊舎(みたまや)と呼ばれる神棚に祀るのが一般的です。御霊舎は、仏教でいうところの仏壇にあたり、家庭において神様やご先祖様の霊を祀るための場所です。霊璽を御霊舎に安置することで、いつも故人の魂を身近に感じ、追悼の気持ちを表すことができるのです。また、霊璽を祀ることは、子孫が故人の遺志を受け継ぎ、その生き方を大切にしていくという意味も込められていると考えられています。たとえば、故人が生前、周りの人たちを大切にしていたならば、子孫もその教えを受け継ぎ、周りの人たちを大切にする生き方をしていく、といった具合です。このように、霊璽は故人と子孫を結びつける大切な橋渡し役と言えるでしょう。霊璽は、故人の魂を象徴するものとして、丁重に扱わなければなりません。みだりに動かしたり、汚したりしないよう、常に清浄な場所に安置し、大切に保管することが重要です。故人を偲び、感謝の気持ちを込めて、毎日拝礼するようにしましょう。