故人の処置

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葬式

枕直し:大切な故人を安置するために

人がこの世を去った直後に行う枕直しは、故人の体を安らかに寝かせ、あの世への旅立ちを支えるための大切な儀式です。古くから私たちの暮らしの中に根付いてきたこの風習は、大切な人を失った遺族が故人に寄り添い、冥福を祈るための大切な時間でもあります。枕直しでは、まず故人の体を北枕に安置します。これは北枕が故人の魂を鎮めると信じられてきたことに由来します。また、かつては故人の頭を北に向けることで、北極星、つまり天帝の住む方角を拝むという意味合いもあったと言われています。次に、故人の両手を胸の前で合わせます。これは合掌の形に似ており、祈りを捧げる姿を表しています。そして、故人の顔に白い布、死に布をかけます。これは、故人の魂が体から離れていかないように、また、魔除けの意味も込められていると言われています。これらの儀式は地域や家庭によって多少異なる場合もあります。例えば、故人の枕元に香を焚いたり、六文銭を握らせたりする風習も存在します。また、近年では葬儀社に枕直しを依頼することも一般的になってきました。しかし、遺族自身の手で故人の体を整え、最後の身支度を整えることは、故人との最期の時間を共有するという意味で、深い悲しみを乗り越える力となるでしょう。大切な人を失った悲しみに暮れる中で、故人と静かに向き合うこの時間は、残された人たちの心を癒やし、前を向くためのかけがえのない時間となるのです。