期限付き墓地

記事数:(2)

墓地

期限付き墓地という選択

かつて、昭和の時代までは、お墓と聞いて思い浮かべるのは、決まって灰色や黒色の四角い石が、整然と並んだ風景でした。お墓の形も大きさもほぼ同じで、墓石に刻まれた文字も、家名と故人の名前、没年月日が一般的でした。お墓は家制度の象徴であり、先祖代々を受け継ぎ、子孫に繋いでいく大切な場所という認識が強くありました。しかし、時代は変わり、近年のお墓は多様化が進んでいます。例えば、ヨーロッパの教会で見かけるような壁に沿って設置された壁墓地や、故人の趣味や好きだったものをモチーフにした個性的なデザインのお墓も見られるようになりました。従来の和型墓石だけでなく、洋型墓石やデザイン墓石など、選択肢も広がっています。素材も石だけでなく、ガラスや金属など様々なものが使われるようになり、色も形も自由な発想で故人を偲ぶ空間が作られています。お墓参りも変化しています。以前は、お盆の時期にお供え物といえば、故人の霊を慰めるための菊の花が主流でした。しかし、今では菊だけでなく、色とりどりのガーベラやチューリップ、故人が好きだった花を束ねた花束を供える方も増えています。お墓に線香をあげ、手を合わせるだけでなく、故人との思い出を語り合ったり、好きだった音楽を流したりと、それぞれのスタイルで故人を偲ぶ姿が見られます。これは、核家族化や少子高齢化といった社会の変化とともに、お墓に対する考え方も多様化し、従来の形式にとらわれず、それぞれの思いで故人を弔うという風潮に変化していることを示していると言えるでしょう。
墓地

期間付墓地という選択

近年、お墓のあり方も多様化し、様々な埋葬の方法から選べるようになりました。その中で、近年注目を集めているのが「期間付墓地」です。これは、従来の永代使用のお墓とは異なり、一定の期間だけ使用できるという特徴があります。使用期間は墓地によって異なりますが、例えば二十年間といったように、あらかじめ決められた期間になります。この期間付墓地は、様々な事情を抱える人にとって、柔軟な選択肢となり得ます。例えば、将来的に他の場所に改葬する予定だが、一時的にお骨を納めておく場所が必要な場合などに適しています。また、子どもがいないなど、お墓の継承者がいないけれど、自分自身はお墓に入りたいという方にも選ばれています。さらに、経済的な面でもメリットがあります。永代使用のお墓の場合、墓石の購入費や永代使用料など、高額な費用がかかることが多いです。しかし、期間付墓地であれば、使用期間が限定されているため、永代使用料などが不要となり、従来のお墓に比べて費用を抑えられる場合が多く、経済的な負担を軽くすることができます。人生の最期を迎える準備として、それぞれの事情に合った埋葬方法を選択できるということは、大きな安心感につながります。従来のお墓の購入に悩んでいた方にとって、期間付墓地は一つの解決策となるでしょう。費用面だけでなく、将来の管理や継承についても負担が少ないため、検討する価値のある選択肢と言えるでしょう。