本願寺派

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法事

親鸞と浄土真宗:葬儀と法事

鎌倉時代、人々が乱世の苦しみにもがき、仏の教えさえも複雑で分かりにくいものだった時代に、親鸞聖人は現れました。正式には見真大師という諡号ですが、広く親鸞聖人として敬われています。当時の仏教は厳しい修行を積まなければ悟りを開けないという考え方が主流でした。しかし、親鸞聖人は、すべての人が等しく救われる道はないのかと深く悩みました。煩悩にまみれた私たち人間には、自力で悟りの境地に達することは難しい。そう考えた親鸞聖人は、阿弥陀仏の本願力によってのみ、人は極楽浄土へ往生できるという教えに辿り着き、浄土真宗を開いたのです。親鸞聖人の教えは「他力本願」と呼ばれます。これは、自らの行いではなく、阿弥陀仏の限りない慈悲の力によってのみ救われるという教えです。分かりやすく、誰もが実践できるこの教えは、瞬く間に民衆の心をつかみ、広まっていきました。当時、厳しい修行に励むことのできない庶民にとって、念仏を唱えるだけで救われるという教えは、大きな希望の光となったのです。現代社会においても、親鸞聖人の教えは色あせることなく、私たちの心に寄り添い続けています。人生は思い通りにならないことばかりで、苦しみや迷いに満ちています。そのような中で、阿弥陀仏の本願を信じ、念仏を唱えることで、私たちは心の平安を得ることができるとされています。また、親鸞聖人は他力本願の教えを通じて、謙虚さと感謝の心の大切さを説きました。私たちは、自分自身の力だけで生きているのではなく、周りの人々や、目に見えない大きな力に支えられて生かされているのです。阿弥陀仏の慈悲によって生かされていると自覚することで、他者への思いやりや感謝の気持ちが自然と湧き上がってきます。この教えは、現代社会における人間関係を築く上でも、大変重要な意味を持つと言えるでしょう。利己主義が蔓延し、争いが絶えない現代社会において、親鸞聖人の教えは、私たちが真に幸せに生きるための道標となるのではないでしょうか。