仮埋葬:知られざる埋葬の形態
仮埋葬とは、その名の通り、一時的にご遺体を土に埋めることを指します。現在では、ご遺体を火葬した後、残されたお骨を埋葬する火葬埋葬が一般的ですが、様々な事情で一時的に土葬を行う必要が生じた場合に、この仮埋葬という方法が用いられます。古くは、火葬を行う設備が十分に整っていなかった時代や、人から人へとうつる病気が流行し、その広がりを防ぐ目的で仮埋葬が行われていました。特に、伝染病で亡くなった方の場合、感染拡大を防ぐために迅速な埋葬が必要とされ、火葬よりも土葬が選択されることが多かったのです。また、火葬の技術や設備が未発達だった地域や時代においても、仮埋葬は一般的な埋葬方法でした。現代では火葬が主流となり、仮埋葬はほとんど見られなくなりました。しかし、大規模な災害時など、火葬を行うのが難しい状況においては、今もなお重要な役割を担っています。例えば、大地震や津波などで多くの犠牲者が出た場合、火葬場の稼働が追いつかず、ご遺体の保管が困難になることがあります。このような場合、衛生上の問題を防ぐためにも、仮埋葬が有効な手段となります。仮埋葬はあくまでも一時的な措置であり、一定期間が経過した後は、改めて火葬を行い、お骨を埋葬するのが一般的です。この期間は、地域の慣習や条例、あるいはご遺族の意向によって異なりますが、通常は数ヶ月から数年程度とされています。仮埋葬後、改めて火葬を行うことを改葬といい、改葬の際には、ご遺族が改めて葬儀を行うこともあります。