自筆証書遺言:想いを託す方法
自筆証書遺言とは、その名の通り、全文を自分の手で書き記した遺言書のことです。パソコンやワープロなどで作成したものは認められず、必ず自筆でなければなりません。ボールペンや万年筆はもちろん、鉛筆や筆ペンなど、どのような筆記用具で書いても構いません。ただし、全文を自分で書き上げる必要があり、代筆は認められていません。たとえ病気などで文字を書くのが難しい場合でも、代筆してもらうことはできませんので注意が必要です。自筆証書遺言を作成する際には、必ず日付、氏名、押印が必要です。日付は、作成した年月日を具体的に記入します。例えば、「令和六年十月二十日」のように書きましょう。氏名は、戸籍に登録されている正式な氏名を記入します。押印は、実印である必要はありませんが、遺言書に書いた氏名と同じ印鑑を使用することが望ましいです。これらの要件が一つでも欠けていると、遺言書は無効になってしまう可能性があります。せっかく書いた遺言書が無効にならないよう、注意深く作成しましょう。自筆証書遺言の大きな利点は、誰にも知られずに自分の意思を記録できることです。公正証書遺言のように証人の立ち会いも必要なく、費用もかかりません。手軽に作成できる方法として広く知られていますが、保管場所には注意が必要です。紛失したり、改ざんされたりするリスクがあるため、安全な場所に保管するようにしましょう。また、家庭裁判所での検認手続きが必要になります。これは、偽造や変造を防ぎ、遺言書の内容を明確にするための手続きです。遺言者が亡くなった後、相続人は遺言書を家庭裁判所に提出し、検認を受けなければなりません。