拝石:お墓参りの基礎知識
お墓参りの際に、墓石の手前にある平らな石を見かけたことはありませんか?それが拝石です。一見すると、ただの平らな石のように思えるかもしれません。しかし、拝石は故人の安眠を守る上で非常に大切な役割を果たしています。特に、遺骨を地下の納骨棺に納める形式のお墓では、この拝石の下に納骨棺への入り口があります。納骨の際には、この拝石を慎重に持ち上げ、故人の棺を納骨室に安置します。そして、再び拝石を元の位置に戻し、蓋をするのです。このことから、拝石は故人の安息の場への扉と言えるでしょう。拝石を設置する際には、ただ石を置くだけでは不十分です。なぜなら、雨水や土が入り込んでしまうと、大切な故人の安息の場が汚れてしまうからです。そのため、拝石と土台の間の隙間は、目地材などでしっかりと塞がなければなりません。近年では、より防水効果の高い合成樹脂系の充填材も使われています。このようにして、拝石は雨水や土の侵入を防ぎ、故人を守る役割を果たしているのです。お墓参りをする際には、拝石の上に供物や花を供えます。故人に想いを馳せ、手を合わせる場所でもある拝石は、私たちが故人と繋がる大切な場所と言えるでしょう。また、拝石の表面に名前や家紋、戒名などを刻む場合もあります。これにより、故人の存在をより身近に感じられるだけでなく、お墓の風格を高める効果も期待できます。このように、拝石は単なる石ではなく、故人の安息と、私たち子孫の祈りを支える大切な存在なのです。