葬儀における花環・花輪の役割
「花環」と「花輪」、どちらも聞き覚えのある言葉ですが、実は同じものを指します。どちらも、生花や造花を丸い形に飾り付けたものを指し、お祝いの席や、亡くなった方を弔う際に贈られます。葬儀においては、故人を偲び、弔いの気持ちを表すために用いられます。色とりどりの花で彩られた円は、永遠の命や魂の循環を象徴するものとして、古くから大切にされてきました。地域によっては、花環の代わりに樒(しきみ)を飾る風習も残っています。樒は、独特の香りを持つ常緑樹で、その香りが邪気を払うと信じられているからです。また、葉が落ちにくいことから、変わらぬ弔いの心を表すのにふさわしいとされています。花環に使われる花の種類も様々です。菊、百合、カーネーション、蘭など、故人の好きだった花や、その場にふさわしい花が選ばれます。最近では、白や黄色の菊だけでなく、淡いピンクや紫色の花々を取り入れた、華やかな花環も見られるようになってきました。このように、地域や時代によって、葬儀に用いる花の種類や飾り方も様々です。しかし、故人の霊前で静かに祈りを捧げ、冥福を祈る気持ち、その心を伝える手段として、花々が大切な役割を果たしていることに変わりはありません。花は、言葉にならない想いを伝える、大切な贈り物と言えるでしょう。