逆修牌

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終活

逆修牌について

逆修牌とは、自分が生きている間に自分のために用意しておく位牌のことです。一般的には、位牌は人が亡くなった後に作られますが、逆修牌は生前に準備しておきます。この点が、通常の位牌との大きな違いです。逆修牌には、あらかじめ戒名が彫られています。戒名は、朱色の文字で記され、その上から錦の布や紙などが貼られています。これは、まだ生きている人の戒名を表に出さないためです。まるで蕾が花開くのを待つように、死後に初めて戒名が明らかになるというわけです。そして、故人が亡くなった時、この覆いを外します。そして、朱色の戒名を丁寧に削り取り、黒く塗り直します。こうして、逆修牌は通常の位牌へと姿を変え、仏壇に安置されるのです。逆修牌を用意することは、死後の準備を生前に行うという意味を持ちます。古くから、逆修牌を作ることで、残りの人生をより良く生きようという心構えが生まれる、また、長寿を願うという意味もあると言われています。また、逆修牌は、自分が亡くなった後の家族の負担を軽くするという思いやりの心も表しています。現代では、核家族化や少子高齢化が進む中で、逆修牌に再び注目が集まっています。生きている間に自分の死と向き合い、準備を整えることは、自分自身の人生をより深く見つめ直す機会にもなるでしょう。静かに人生の終焉を見つめ、穏やかに日々を過ごしていく、そんな生き方を考えるきっかけを、逆修牌は与えてくれるのかもしれません。